第17章 道中と野宿
日が落ちてくると、野宿の準備のために茂みに野営を張り始めた。私はこの手のことは何も分からず、見守ることしか出来なかったのだが、他のみんなはあれこれとテキパキにこなしていて私はやはり自分の無力さを思い知ってしまう。私は何も知らずにあの城を出ようとしていたのか。きっと一人じゃ、何も出来なかったんだろなと思う。
私はみんなが野営の準備をしている間、邪魔にならないように少し離れたところにいた。これから暗くなるとモンスターがやって来るとのことだったので、焚き火の光がほんのり届く所にあった倒木に腰を下ろして、遠巻きで三人の様子を見守った。
お互い笑い合っている。いいな、仲間って。
そうしている内にいい匂いが漂ってきた。おんりーが焚き火に折り畳み携帯鍋を広げて夕食を作っているみたいだ。
やがて、ぼんじゅうるがお皿を持ってこちらに近付いてきた。勇者様、と隣の倒木に空間を空けると、そんな堅い挨拶はいいと、私に温かなシチューを渡してくれた。
「ウサギシチュー。これが美味いんだよ」
とぼんじゅうるは言って。
渡されたシチューは湯気が立っていて美味しそうな香りが私の食欲を刺激した。添えられたスプーンで一口含んでみると、まろやかな旨さが広がって私は感動した。
「美味しいです……!」
「そっかそっか、よかった。おんりーが作ったやつだけどね」
私の言葉にぼんじゅうるは柔らかく笑った。そうやって笑うぼんじゅうるは、年齢差を感じさせない程親しみやすさがある気がした。