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導きの巫女と勇者サマ御一行[dzl]

第14章 獣使い


「あのー、そちらの方は?」
 一区切りついたところで私は訊ねてみた。まずはおんりーが答えてくれた。
「この人はおらふくん。獣使いなんです」
「獣使い……?」
 だからおらふの肩にはあの大蜘蛛が肩に乗っているのか。その大蜘蛛は、襲ってこないのよね? と半信半疑でいて名乗るのも忘れていると、次にはぼんじゅうるが言葉を続けた。
「おらふくん、この子、クレアちゃんの娘なんだって! ユメ王女様の旅に付き合ってたところなんだ」
「あ、そうやったん?」
 そうぼんじゅうるから聞いたおらふくんは、急に馬から下りて私の目の前で跪いた。
「僕、おらふといいます。ぼんさんと一緒に旅をしていました」
 そう言って手を差し出したのでなんだろうと私もつられて手を出すと、手の甲にキスをしたからびっくりした。ええ、こんなことされるとは思ってなかったのに!
「え、おらふくん、何してるの?」
「え、自己紹介する時こうするんやないの?」ぼんじゅうるの質問に、おらふくんはきょとんとした。「だってぼんさん、こうするんだって言いませんでした?」
「それは忠誠を誓う時ね? 自己紹介する時にやるって言ってないよ!」
「あ、そうやったん?!」
 おらふくんは恥ずかしそうに手を引っ込めて立ち上がった。それから素早く頭を下げた。
「ごめんなさい、王女様っ。僕、勘違いしてたみたいでっ……!」
「いえ、大丈夫です!」
 私に忠誠を誓われる立場は一生来ないと思っていたから、ちょっと嬉しかった。どうやらおらふくんは、一般庶民たちが言う「天然」というものらしい。
「ところで、おらふくんはどうしてここに?」
 おんりーが切り出して話題がおらふの話に戻る。そうだった。おらふは私たちの馬に乗って山を登ってきて、誰かを探しているようだった。
「あ、そうやった。……この辺りに、僕の蜘蛛おらんかった? 二匹いたんやけど、どっか逃げちゃったんよ」
「え、二匹って……」
 私はおんりーとぼんじゅうるへ視線を向けた。おんりーは至ってあまり変わらなかったが、ぼんじゅうるは分かりやすく驚いた。
「ええ、さっきのおらふくんの蜘蛛だったの?!」
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