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導きの巫女と勇者サマ御一行[dzl]

第2章 私と妹


「ノゾミ、おはよう。珍しいね、こんなところに」
 私は振り向き、巫女修行場の出入口に立つ妹──ノゾミに挨拶をする。
「お姉様の情けない姿を見に来ただけよ」
 と答えるノゾミは、才能ない私を散々蔑む周りや家族によって、すっかり私のことも見下すようになっていた。それにノゾミは、私と違って一発で巫女修行を次々と成功している。大巫女には、きっとノゾミがなるんだと思う。
「それより、今日は巫女の最終試験じゃないの? こんなところにいない方が……」
「言われなくても分かってますわよ!」
 私の言葉に、ノゾミはイライラした様子でそう返して立ち去って行く。昔は仲良く遊んでいたけれども、今ではそんな面影もない。
 私は初級巫女修行さえクリア出来ないダメな王女だった。……ううん、本当は王女でもないのかも。前にお父様、お母様が冗談で話していたように、私は橋の下で拾われた名もない赤ん坊で、大巫女の血筋なんて一滴も受け継いでいないのでは、とさえ私は思うようになっていた。
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