第1章 大巫女のお話
私の家には、代々伝わる話がある。
それは、世界の危機が訪れ、人々を絶望へ突き落とした悪いドラゴンを封印した大巫女がいたと。
大巫女はその聖なる力で悪いドラゴンをエンドという島に封印し、再び世界に平和を取り戻して、この国の女王となった。そうして何百年も受け継がれた大巫女の血筋を持つ女王も様々なことで度々人々を救い、国の安泰を守り続けた……。
その大巫女の末裔が私、ユメ。
城には、聖なる大巫女になるための修行場や宝物庫がいくつもあった。また、国に少しでも貢献しようと、巫女になろうと志願してやってくる少女や女性たちは後を絶たない。
だけれども大巫女になれるのはその血筋を受け継ぐ私たちだけ、のはずだが。
「お姉様、まだ巫女初級が出来ませんの?」
優秀な妹と比べ、私には一切、巫女としての力は現れなかった……。
『導きの巫女と勇者サマ御一行』