第12章 勇者様
「ぼんさん、杖の直し方分かります?」
ここまでのあらすじをぼんじゅうるに説明したあと、おんりーが台座の方を指してそう訊ねた。
ぼんじゅうるもきょとんとした顔を浮かべた。
「え、杖壊れちゃったの?」
と聞き返して。
私は頷くしかなく、台座に置いたままの杖へと近づいてみた。宝石の破片が入った革袋も置いたままにしていたが、依然として変化はない。
そこに背の高いぼんじゅうるが後ろから覗き込んで来て、わ、ほんとだ……と心から驚いているような声をあげた。
「これ、クレアちゃんが持っていた杖だよね?」
とぼんじゅうるが聞いてきたので、私はまた頷いた。
「エンドラが復活したんです。だから、もう一度封印するために、この杖と勇者様の力が必要なんです」
ここまで来ても、私はこうまでして人に頼らなくてはならないのか、と自責の念に押し潰されそうだった。ノゾミは、才能のない私の代わりにずっと巫女修行を頑張っていた。だから私はその後ろでひっそりと、初級修行のところで足踏みすることが出来たのだ。
だけどノゾミは違う。多くの人の期待をあの小さな背中で背負い続け、最終試験まで進んだ。もしかしてノゾミがあの試験を失敗したのは私のせいだったのでは、とさえ思う。私が才能なかったばかりに。いいや、頑張らなかったが故に……。