第54章 その後
落下したような感覚がした。
ポータルをくぐった後の記憶ははっきりとはしていない。ただ、懐かしい、優しい声が私たちを呼んで目を開けると、目の前にお父様とお母様がいたことはよく覚えている。
私とノゾミは手を繋いだまま城の王室に座り込んだまま唐突に現れたらしく、気配を感じたお母様が、お父様と共に駆けつけてくれたのだそうだ。
「二人とも、見ない内に仲良くなったのだな……?」
とお父様に不思議そうな目で言うから、私はノゾミの方を見て互いに笑い合った。秘密の時間があったの、なんて冗談っぽく言って。
その後、私は自分の言葉で、お父様、お母様に頼み込んでぼんじゅうる様のサークレットを城の一番高いところの、町を見下ろせる大きな窓がある部屋に飾ってもらった。時々子どもたちを案内して、どんな冒険をしたのか語るのが私の仕事の一つともなり、城に追い出されることは、一度となかった。
ノゾミはというと、今も続く巫女の伝統を別の力に使いたいと、人々を集めて日々何かしらの支援に出掛け回った。ノゾミは本当は、城を出て外で活躍することが肌に合っていたみたいである。ノゾミは国中の人気者となった。
そして私はというと……。