『ヒロアカ』I want you【ホークス・爆豪・荼毘】
第8章 冥い
「荼毘が言ってたの。ホークスが荼毘に私のこと話してるって」
そういうことか…
あいつどこまでも手回ししてやがる
「ねぇ?知り合いじゃないよね?」
「……ごめん」
「え…っ、知り…合いなの…?
だったら今日起きる事も事前に知ってたの!?」
「それは知らない!」
「嘘だ!私のことセフレだって…私の体が最高だって言ってたんでしょ!!私のこと好きじゃないって分かってたけど、ヴィランに言うなんてひどいよ…っ!」
「待って!ちゃん落ち着いて!」
「前、私が路地裏で襲われた時からもう手を組んでたの!?」
「ねぇちゃん!」
「…出てって」
「話を聞いてくれ!」
「出てってよ!!」
今はなにを言ってもダメそうだな
そう思いちゃんの指示に従い外へと出るとそのままガチャっと鍵を閉める音が聞こえてきた
もう一度開けてくれないかななんて変な期待をしてそのままベランダに立ち尽くすが、閉まった窓は開く気配がない
仕方なく翼を動かしベランダから飛び立つ
後ろを振り返って見ても普段見送ってくれる彼女の姿は今はない
自然と出てしまうため息を溢しながら普段よりもゆっくりと空を飛ぶ
今の姿を誰かが見たら、あれが本当に最速の男!?とびっくりされるだろう
なんとなく家に帰る気にならず、近くの喫茶店へと入る
食欲もないので、飲み物だけ注文すると座っているカウンターの横に見覚えのある男が腰をかける
「…荼毘」
「あんたの言うとおりだったよNo.2。最高だな」
咄嗟に奴の胸ぐらを掴みそうになる
「おっと…。こんなところで暴れたら困るのはあんたじゃないのか」
荼毘の言葉に納得し落ち着け自分と言い聞かせ、再び椅子へと腰を下ろす
「ただのセフレに随分肩入れしてんのなあ。それともやっぱりあんたはヒーロー側の人間か?」
「…そんなわけないだろう。若い女の子が振り回されてるのが気に食わないだけさ」
「ふっ、それなら大丈夫。あいつ気持ちいいですって可愛い声であんあん喘いでたから」
荼毘の一言一言に、耐えるように見えない右手で拳を握りしめる
爪が皮膚にめり込んで痛いけどちょうどいい、そのおかげで正気が保てる