『ヒロアカ』I want you【ホークス・爆豪・荼毘】
第8章 冥い
ホークスが部屋から出て行った
ちょっと言い方きつかったかな…。
けどなんでホークスと荼毘が知り合いなの?
ホークスはヒーロー、なのになんでヴィランと?
考えても答えが出るはずはないのにそればかりが頭の中をぐるぐるまわる
わたし、騙されてたのかな
そんな考えたくない事までも考えてしまう
コンコンッ
扉からノック音が聞こえ開けると爆豪くんの姿
「爆豪くん…?」
「入っていいか」
今は1人になりたくない気分だったからタイミングが助かる
中へと招き入れると机の前に2人で腰をかける
なんか気まずいな、なに話そう
そう考えていると爆豪くんの方が口を開く
「…守れなくて…ごめん」
いつもと違う弱々しい彼の姿と、普段は絶対言わないような謝罪の言葉
「なんで爆豪くんが謝るの!?」
「縛られて身動きが取れなくて、そんなの言い訳にできねぇけど…自分の無力さを痛感した」
下を向きながら少し震えた声で話している
「必死に助けようとしてくれたの知ってるよ。」
「…もっともっと強くなってお前を守る。」
真剣な表情で真っ直ぐ目を見て言われるものだから、なんだか心臓がキュッとなる
「…私も一応ヒーロー志望なので…自力でもどうにかできるように…がんばります…」
恥ずかしい気持ちを隠すようにそう伝えると「おー、」と普段見ないような柔らかい顔で笑う爆豪くんの顔に釘付けになってしまう
その後は2人でテレビを見ながらグダグダと話をして時計の針もいい時間をさすようになってきた
「結構時間経っちゃったね」
「そうだな」
「…っきゃ!ごめ!」
立ちあがろうと床に手をついた時に、バランスを崩してしまい爆豪くんの上に覆い被さってしまった
「ご、ごめんね!」
慌てて体を起き上がらそうとするけど爆豪くんの腕が背中にまわってきて、抱きしめられてるんだなと理解するまで時間はかからなかった
「…爆豪くん?」
「前も言ったけど、好きだ」
「うん。ありがとう」
「好きだ」
「うん」
「てめぇがヘラ鳥のこと好きでも俺は諦めねぇ」
「……うん」
先ほどのホークスとのことを思い出してしまい少し目線を下に向ける
「俺じゃ…だめか?」
「…え、?」
考えている間に唇に柔らかい感触がする