『ヒロアカ』I want you【ホークス・爆豪・荼毘】
第4章 揺らぐ心《※爆豪》
「茶髪、なんつー顔しとんだ」
学校に着くと1番に爆豪くんが声をかけてきた
「んー?べつにー」
「目、腫れてんぞ」
爆豪くんならこの寂しさ埋めてくれるだろうか
なんて卑怯なことを考えてしまう
「…ねぇ爆豪くん。この前言ってたよね強いやつと戦いたいって。わたしの個性ならそれ叶えられるよ。……えっちしようよ」
爆豪くんに近づいて左の手を爆豪くんの右の頬に添える
「えっ…な!なに言っとんじゃ!」
「…嫌ならいいんだ。…轟くんにお願いしてみようかな」
頬に添えた手を離し、轟くんのところに向かおうとすると
「茶髪…ちょっとこっちこい」
爆豪くんに腕を引っ張られそのまま誰も使用していない教室へと押し込まれる
ピシャッと扉を閉める音が響くと、少しの沈黙の後爆豪くんが口を開く
「なんかあったんか…あのヘラ鳥と」
すごいね、才能マンはなんでもお見通しなんだ
「何もないよ。そもそも何も始まってもない」
そうだ。私達は終わった以前に始まってもいない
「お前は誰でもいいんか、誰にでもああやって言うのか」
どうだろう、もう今はこの寂しさを満たしてくれるんだったら誰でもいいのかもしれない
けどそれをどうやって伝えたらいいのかわからない
ずっと黙っている私に見限って爆豪くんが話し出す
「…俺はてめぇが好きだ、けどそんな半端な気持ちでてめぇを抱きたくねぇ」
え?爆豪くんが私のこと好き?今までそんなそぶり感じたこともなかった
爆豪くんはとても真剣な表情をしていて本気なんだなと言うことが伝わってくる
なのに私…。なんて最低なこと言ってしまったんだろう
『自暴自棄になんな』
爆豪くんはそう言うと頭を軽くポンっと叩いてそのまま教室から出ていった
それからというもの彼は何かと私のことを気にかけてくれるようになった
「授業わからねぇとこないか」
「課題ちゃんとやってんのか」
「飯はちゃんと食ってるか」
「ちゃんと寝れてるか」
不器用な言い方だけど、そこがまた爆豪くんらしい
上鳴くんや瀬呂くんに『ひゅーひゅー』なんて言われてるけどそのたびに目を吊り上げてキレ散らかしている彼を見るとなんだか安心できる
数日が経ち私たちはお互いの部屋を行き来するくらいまで仲良くなったある日、爆豪くんが学校に来ていないことに気づく
爆豪くんが休むなんて珍しいな
どうしたんだろう