第1章 冗談なんかじゃない
視線を加賀谷へと向けただけで、加賀谷と視線がぶつかる。
なんで。
なんでそんな優しい顔で見てんの。
そのまま魅入るように加賀谷を見つめていれば。
また、加賀谷の綺麗な顔が近付いてきて。
引き寄せられるようにまた、唇が重なった。
加賀谷のキスは。
熱い舌が舌を絡め取って蹂躙して、舌の裏側とか、喉の奥まで舐めまわす。
ゾクゾクして。
すぐになんにも考えらんなくなるんだ。
ボーッとしたままやっと意識や感覚が戻ってきた頃。
漸く自分の服がすでに原型をとどめてないくらいに乱れてることに気付いたところで。
もはや手遅れで。
「加賀谷…………っ、まって」
鎖骨下から胸元へと唇を寄せる加賀谷の肩を押しのけて抵抗したところでびくともしない。
涼しい顔して唇はどんどん下へと下がっていく。
いつの間にか外されていたブラのホックのせいでゆるゆるとなったそれは、少しでも唇が下に下がれば簡単に露出してしまうくらいにまで、なっていて。
慌てて加賀谷の口を両手で押さえた。
その瞬間。
ほんとに一瞬だけ加賀谷の動きが止まるけど。
こんなこと加賀谷にとって見れば邪魔でも抵抗でもない。
また。
手のひらに加賀谷の舌が這う。
「っ」
意識が手のひらの感触に集中していれば。
「ひあ…………っ?」
加賀谷の指先は、いつの間に露出された膨らみの先端、を、摘み上げていた。
「や、め…………っ、かがや…………っ」
そのままふたつの指先で先端を擦り合わせるように動き出す。
手のひらには未だ加賀谷の舌が這う感触に晒されて。
こんなの無理。
力の抜けた両手は、加賀谷の唇から離れ、ベッドへと沈んだ。