第1章 溢れたイチゴみるく
慌てるよう車を走らせ、思ったより早く帰宅をすると急かす父の掛け声に追われ私は逃げるように二階へ駆け上った。
窓の外から範太の家を見る。私の部屋と範太の部屋は窓同士が近いためよく窓から出入りしていた。
私は引っ越しをすることを範太に伝えたくてカーテンを開けて窓を覗き込むと……、そこには見慣れた亜麻色の髪が映っていた。
「むっちゃん……?なんで……?」
思わずそう呟くと、私の声が聞こえたのか亜麻色の髪の持ち主が顔を覗かせた。
私と目と目が合った瞬間彼女は何故か手を顎に置いて『口元を見せた』状態で、嘲るように口元を歪めた。
そのとき、私は背筋が凍った。
よくよく思い出せば自己紹介のときにむっちゃんがと目が合ったときにも彼女は微笑んでいたけど、そのときには口元を隠していた。
彼女が笑うのを止めなくなったのも、『私が意識したときから』だ。
――もし彼女が『嘲り笑うのを隠すため』に口元を隠して笑っていたとしたら……?
私が出した答えはただ一つ。
彼女は、私を『陥れる』ためにこの街にやってきたの……?
私がはっとして再度範太の家の窓を見ると、既にカーテンは閉まっており窓から漏れる灯りだけが見えていた。
あとがき
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嘲り笑っていることを隠すために口元を手で隠す手法をやってる人は一度だけ見たことがありますが、実際にはバレますし人前でやろうとする人は「え、嘘がバレたの?なんかごめーんw」をやりたい人なので真似しないでください……\(^o^)/
実際にやってる現場を見ましたが髪の毛を引っ張り合う大喧嘩になっててドン引きした覚えがありますorz女って怖いね。