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[ヒロアカ]Bitter&Honey

第1章 溢れたイチゴみるく


その後、私達家族は夜逃げのように引っ越しの荷物を纏めると、親戚が出してくれたトラクターの二台に詰めるだけ荷物を詰んで、残りは後日運ぶことにした。
そして、父が運転する自分の家に車に乗り込んだ。

私は、車の窓の中からじっと範太の部屋の窓を見つめる。
スマホを見ると、深夜12時過ぎているにも関わらず彼奴の部屋の明かりは消えなかった。
不意に涙が溢れたので、私は両親に気づかれないように隠れながらハンカチで涙を拭った。

その後顔を上げると、一足遅れてやって来た兄が何か白いビニール袋を持っていることに気づく。

「……、これ。範太くんの部屋から落ちてきた。きっとお前宛だと思う」

私は驚きながらもビニール袋の中を覗く。
そこには黄色いシンプルな箱と一通の手紙が入ってた。

手紙の文字はとても達筆で綺麗な文字だ。

――何度も見たことがある。いつ見ても綺麗だなぁ、これ範太の字だよね?

手紙の中にはこう書かれていた。
どうやら父や範太のおじさんが勤めている会社の大手取引会社の社長の娘さんが、かなり性悪らしい。
近い年頃の仲の良い男女を見ると、地位や金に物を言わせて男を寝取る『遊び』をしているとか。
自分が止めなきゃ他のヤツが迷惑するから、暫くは一緒にいられないという趣旨の内容が書かれていた。

私の幼馴染である瀬呂範太は、誰にでも優しい英雄(ヒーロー)のような性格だ。

残った箱の中身を開けると、そこには玩具の指輪が入っており気づけば、手紙が濡れていた。
――やっぱり、範太は格好良い。
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