第2章 目覚めの珈琲
「……爆豪勝己」
「アンタって子は……、本当に自己紹介が下手くそねー」
爆豪のおばさまがやれやれ、と言いたげにため息を付いた瞬間、爆豪くんは「はぁ?!」とわかりやすくキレていた。
「俺の名前は爆豪勝己、個性は爆破、将来はオールマイトみてーなトップヒーローになる!!」
わ、わかりやすい。本当にわかりやすい。
私は呆気に取られながらも、自己紹介をした。
「……えと、私の名前は 。個性は熾天使。将来の夢は……」
ちらり、と頭の片隅に思い浮かぶのはあの子の顔。
『一緒にヒーローになってチームを組むとかどうよ?』
どんな時でも、どんな人にも優しい、私のヒーロー。
確かに今範太の隣にいるのはむっちゃんだけど、あの日、あの時約束してくれたのは私だけ。
私は、決心すると真っ直ぐ爆豪くんの顔を見た。
「将来の夢は、ヒーローになって優しいあの子のサポートをすること!」
確かに声は届かないけれど、私は想いを込めて言い切った。
そんな私のことを寂しそうに見つめる人がいることも知らずに……。