第1章 溢れたイチゴみるく
――今頃むっちゃんと範太は一緒に給食を食べてるのかな?
――怪我をしたのが私じゃなくてむっちゃんだったらどうなってたのかな?もっと長くお姫様抱っこしてたのかな?
――きっとむっちゃんがお姫様抱っこされたほうが絵になったのに。
私は食べる箸を止めると窓を見れば薄っすらと今の私が映っていた。
短いショートボブの髪は男の子みたい。もちろん、男の子である範太の髪型を真似したんだから当たり前だけど。
服も男の子みたいなTシャツと半ズボン。
範太に笑いかけてたむっちゃん(あの子)の髪はとても長くて綺麗で……まるで御伽噺のお姫様みたい。
服も白とピンクのフリフリがついた可愛いワンピース。
そんなに可愛い彼女に微笑み返す範太も格好良く見えて……。
美男美女だから、皆話題にしてるんだろう。
――ずっと一緒にいたのは私なのに。私のほうがずっとずっと範太の格好いいところを知っているのに。
それでも話題にならないほど私と範太は兄弟にしか見えなかったのだ。
私が願ってそうしたのに、今までは嬉しかったのに。
私は無性に悔しくなってガツガツとご飯を食べた。
その日の給食の味は覚えてない。