第1章 溢れたイチゴみるく
相手の男の子はバツが悪そうに頭を掻きながら謝ってくれた。
「落としちゃった私も悪から気にしないでね」
「女の子にご飯当番はさせないほうがいいわね。先生も悪かったわ、ごめんなさい」
「先生も気にしないでください……」
私はむっちゃんから給食を受け取ると皆教室に帰っていった。
――範太がわざわざ謝るように言ってくれたのかな?優しい。
彼の優しい行動を思い出せば同時に一緒にいたむっちゃんも思い出して、胸が苦しくなった。
「さん、大丈夫?」
気づけば保険医の先生が私の顔を覗き込んでいた。
私は慌てて首を横に振ると、急いで給食を食べ始めた。