第1章 溢れたイチゴみるく
範太とむっちゃんが職員室に呼び出されてから時間が経ち、給食の時間になった。
いつもは範太と一緒に運ぶけどまだ帰って来ないらしく、私は他の男子と一緒に運ぶことになった。
皆と一緒に給食センターへ行くと自分のクラスが書いた紙を発見。
「じゃあ、持ち上げるぞ」
「うん!」
ご飯係は一番大変。クラス全員分のご飯を二人係で運ぶのだ。
二人で運んでいると階段に差し掛かった。
ご飯の箱は大きくて縦にしないと通れない、そんなことはわかっていた。
気づけば相手の男の子が先に階段を登っていた。
結構ペースが早く、ご飯の重みが一気に伸し掛かってくる。
――範太なら気を使って先に行かせてくれるのに。
「そういえばさ、むっちゃんのこと知ってた?」
いきなりむっちゃんのことを聞かれた私は驚いて持っいたご飯を落としそうになった。
「わぁっ、重たいだろ?!」
「ご、ごめん。……知らない、初めて会ったよ」
「それならが知らないところで範太とむっちゃんは会ってたとか?」
そんなことはない、という言葉が喉までで掛かった。
でも仲睦まじい二人の姿を思い出したら、それが一番マシなわけで。
私は一瞬だけ脳裏に浮かんだ嫌な想像を振り払うように首を横に振った。
「いやいや、寧ろ一目惚れなんじゃ?」
「やっだー!それって運命ってやつ?!ロマンチック~~!」
その言葉を聞いた瞬間、私は胸の奥がチクリと痛む。
そのせいだろうか、気がつけば足に痛みを感じて蹲った。
「ちょ、……!お前何してんだよ!!」
相手の男の子の言葉を聞いて、漸く状況が飲み込めた。
知らないうちにご飯の箱を落としてしまい足にぶつけていた。
でも、私は足が痛くて身動きはもちろんだけど言葉も出ない。
少し足を動かすと、いや、動かさなくてもズキズキと痛みが走る。
私が蹲っていると、不意に体が宙に浮いた。