第1章 溢れたイチゴみるく
二人共素直に返事をするけれど、その後も楽しそうに喋る声は止まらなかった。
そのせいか、授業の間中ずっと先生が怒ってて見てるこっちは怖かった。
そして、授業終了のチャイムがなり、先生の一言で授業が終わった。
「むっちゃん、範太くん、二人共今すぐ職員室に来なさい」
そう言いながら先生はドンッと大きな音を立てて机を叩いた。
「ほらー、範太のせいじゃん」
「睦実が馬鹿なことばっか言うからっしょ?」
「……いいから黙ってついて来なさい!!!」
二人の反応を見た先生は顔をひきつらせながら再度来るようにと畳み掛ける。
すると、二人は色々と文句を言い合いながらも仲良さそうに教室を出ていった。
先生は教室から出ていくときに一言「次の授業は予習です。皆はいい子にしててね」と言うとそそくさと出て行ってしまった。
その瞬間、クラス中がざわざわとお喋りをはじめた。
「むっちゃんと範太の様子見た?あいつら絶対デキてるぜ!!」
「むっちゃんって範太目当てで転校してきたんじゃねーの?」
「二人は幼馴染とか許嫁だったりして!」
やっぱり、他の人の目から見てもあの二人は仲良く見えるらしい。
私は仲睦まじい二人の噂を聞きながら小さく溜息を付いた。
今まで範太とずっと一緒にいたのは私だ。
それなのに、私達が付き合ってる、とかそういう噂話は全然出てこなかった。
現実を目の当たりにすると胸の奥がチリチリと痛み鼻の奥がツーンと痛くなった。若干目頭も熱くなってる。
――泣くもんか。絶対に泣くもんか。
私は、皆にバレないようにこっそりと奥歯を噛み締めて耐えた。