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[ヒロアカ]Bitter&Honey

第1章 溢れたイチゴみるく


「そういやさ、俺等が大人になってもずっと一緒にいるんだろーね」
「……たぶん、そうかもね」
「ならさ、いっそのこと大人になったら一緒にヒーローになってチームを組むとかどうよ?」
「あ、それいいかも!」
「約束な、」

そう言うと範太は飄々と笑いながら小指を差し出してきた。
何気なく絡めた互いの小指から伝わってくる範太の熱と、私の顔の熱は同じくらい熱かった。

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小さい頃は楽しかった。産まれたときからずっと一緒にいた幼馴染の範太と色々な場所を探検し、服を泥だらけにしては母に叱られていた。
同じ髪型にして、同じ服を着てずーっと一緒に行動してた。

「貴方達ってまるで双子みたいね」

誰かにそう言われることが嬉しくて、気づけば私のほうが範太の真似をしていた。
それでも範太は嫌がることがなくて、寧ろそれが当たり前になっていた。
しかし、あるときを堺に状況は変わってしまった。

それは、小学3年の春。私のクラスに転校生がやってきた。彼女は亜麻色のサラサラストレートの髪を一部だけ高い位置で二つ結びにしていた。その髪型は今まで見たことがないくらいお洒落で可愛い髪型だった。

「皆気軽にむっちゃんって呼んでね」

むっちゃんは範太の隣の席になった。彼女は教科書を持っていないから範太が見せることになったんだけど……。
真横をちらりと見ると、範太がむっちゃんに何かを囁いて、次の瞬間むっちゃんが楽しそうに笑っていた。その瞬間、ずくり、と胸が痛くなった。

――私が範太の隣になったときは授業に集中していたくせに。

授業に集中しようと思って必死に書き写すんだけど、隣からずーっと「クスクス」っていう楽しげな声が聞こえて全然集中できない。

「むっちゃん、範太くん、いいかげんにしなさい!!」

黙々と授業をしていた先生が急に大きな声で怒った。
先生は顔を真赤にして、唇をワナワナと震わせていた。
次の瞬間、クラス中が後ろを振り向くと視線の先には範太とむっちゃんが。
クラスメイト達の顔はじと目だったり奇異なものを見る目だったり、と様々な表情をしていた。
クラス中から見られた二人は、愛想笑いをしながら誤魔化していた。
けれど、わかることが一つだけある。
それは、皆範太とむっちゃんが話していることに気づいてた。それだけ大きな声を出していたんだろう。

「「はーい」」

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