第2章 目覚めの珈琲
兄は慌てて車から降りると、母から荷物を受け取って家の中に運んでいた。
車の中に詰め込んだ荷物はほんの少しだった。
買ったばかりの新しい家具も、家族全員で大切に使っていたパソコンも全部置いてきたから我が家の荷物は本当に少ない。
「そういえばお母さん、残った荷物はどうするの?」
「あぁ、後で地元にいる親戚が姉さん家に送ってくれるわよ」
そう言いながら、お母さんは荷物を渡してきた。
私は家の中に荷物を運ぶと、何処に運べばいいのかわからなくて辺りを見渡すと、階段の奥から見慣れた男の子の顔が見える。