第2章 目覚めの珈琲
緑谷のおばさまは楽しくて楽しくてしょうがない、という雰囲気で次から次に喋る。
鈴が鳴るようなコロコロとした声で喋るその声は聞いてて癒やされるし、何より楽しそうに喋ってくれるからむっちゃんから逃げ来た、という後ろめたさも忘れるくらいだ。
でも、車の中を何度見渡してもお父さんはいない。
本当は聞きたいけど、聞いたらおばさまが泣いちゃうから、聞くに聞けなくて……、私はそのままおばさまとお母さんの話を聞き続けた。
その間、お兄ちゃんは静かに窓の外を見続けている。
兄の顔を見ていたら、申し訳なく感じて私は一人肩を竦めた。