第2章 完璧執事は高校生
「—————う」
?
ま、ぶし…………。
「皇」
微睡の中呼び起こされた意識が、カーテンから漏れる眩しい光を認識して。
視界に。
「あ…………」
死ぬほど会いたかった愛しい人が、映り込む。
「…………よかったはいせ」
「?」
寝ぼけた頭が、思わず地雷投下するまであと数秒。
人間、寝起きの思考回路には気をつけた方が絶対いい。
ベッドの枕元に腰を下ろして。
優しく頭を撫でてくれる掌が気持ち良くて。
先程までみてきた、会っていたハイセとのギャップに思わず頭がバクを起こしたんだ。
きっと。
「あたしは、高校生より今のハイセが好きよ」
「——————は?」
あったかい掌に頭を擦り寄せ、戻れた事実に安堵していれば。
頭を撫でるハイセの掌がピタリと止まった。
「…………乱暴なハイセもたまになら、いい」
「皇?」
「あたし、高校生のハイセに会ってきたの」
「皇」
枕元にいたはずのハイセがベッドを軋ませて。
ハイセの体重が、お腹あたりに感じる。
「あ…………」
微睡の中、気持ちよさに酔いしれてあたしなんて言ったっけ。
冷めた目で見下ろされて初めて、自分の投下した爆弾の重大さに気付いてもそんなのあたりまえ、遅い。
一緒で朝から。
血の気が引いた。
ふい、と視線をそらしたのは。
ほんと無意識。
「皇」