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奥まで愛して —お嬢様✖️溺愛執事—

第2章 完璧執事は高校生




「は、はいせ…………」


真上から見下ろすハイセになりそこないの笑顔、残して。
身体を起こした。

ハイセの腕にすっぽりはまっている構図が恐怖すぎて。
ズリズリと腰を動かしてベッドカードまで、避難。
なんとか這い出したまではきっと良かったはずなんだけど。
背中に触れる硬いベッドカードが行手を阻むわけで。
当然。
簡単にまた、ハイセの腕の中。




「し、仕事遅れる、よ?」



「リモートだから平気」
「あ、そう、なんだー」



あは、あははなんて。
乾いた笑いが空気をさらに乾燥させていく。




「どうしたの、皇。ずいぶん怯えてる」



す。
て。
頬に伸びてきたハイセの右手にさえ、ビクつくように反応する。




だめ。
こんなの余計ハイセ興奮させるだけなのに。





「…………そんなことないよ?」





いくら夢落ちな現実だったとしても。
高校生の幼いハイセにちょっっっと、ほんとにちょっとだけ心惹かれちゃった事実が。
ハイセに後ろめたさを感じさせちゃうんだ。
そしてそれはハイセにはきっと、お見通しで。
あたしが引け目を感じてる事実を、簡単に見つけ出す。






「高校生のって何?」
「…………夢?かな」
「ふーん、夢」
「うん、夢」





寝起きのボサボサの髪の毛を掬い上げて。
ハイセが口付けながら上目遣いであたしを捉える。
あーもう。
なんでこの人朝からこんな色濃くフェロモン撒き散らすわけ。





「夢の中で浮気した?」
「…………ハイセだもん」
「…………したんだ」
「だから、ハイセだもん」
「俺以外は夢だろーがなんだろーが俺じゃない」
「時々和泉先輩、無茶苦茶な理論出してくるよね」




はは、なんて。
横向いて自嘲的に笑えば。
ハイセの動きがピタリと止まる。




「何それ」
「?」
「…………先輩とか、それも夢?」
「…………ごめん嘘。さすがに呼んでない」

「呼んでくれたら許す」





「…………」




まじか。
目がまじだ。





「…………お仕置き、のがいいそれ」




もうすぐ40になろうとしてるやつに先輩とかなくない。
はずすぎて無理。

絶対無理。

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