第14章 言えない理由。太宰治
探偵社へ戻ると、太宰くんだけがいた
「おかえり!おや?敦くんと一緒だったのかい?」
『ええ、さっきエレベーターでバッタリ!ねぇ?』
敦「は、はい!」
「そうなのかい、そういや?買い出しって言ってたけど、何を買いに行ったのだい?」
しまった! 何も持っていない、、、、。
すっかり忘れていた。
『え!えっと売り切れてたの!与謝野先生のお使いだったんだけどね、、、。』
「ふーん、そうなのかい。」
きっと信じてない、声のトーンで判る。
「敦くん!今日はもう上がっていいよ〜」
敦「いいんですか?」
「勿論だとも!敦くんにはいつも助けてもらっているからね〜」
敦「あ、ありがとうございます!では、お言葉に甘えて!」
敦くんは帰ってしまい、事務所には私と太宰くんだけになった。
「?私に嘘をついていないかい?」
『なんのこと?』
兎に角シラを切る。
「随分敦くんと仲が良いようじゃないかい?」
『可愛い後輩だもの。』
「可愛いねぇ?じゃあ質問を変えよう、何故1人で買い出しだと嘘をついたのだい?敦くんといるのに。」
何も言えなかった、まさかそこからバレてたなんて。
事務所の鍵をかけて、ジリジリ太宰くんが近づいてくる。
反射的に後退るも、すぐに壁と太宰くんに挟まれた。
もう逃げられない。