第12章 私のヒーロー 谷崎潤一郎
声をする方へ向きたいが、それすらもできない。
『谷崎くん!!た、助けて。』
「お前、になんて事してくれたんだ。死にたいのか?」
谷崎くんが本気で怒っている。声だけでわかる。
男「にいちゃん、俺に勝てるとでも?」
『この男触れたものの動きを止める!気をつけて!!っう!』
「!!!っく。」
私は男に殴られ、意識を失った。
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目が覚めると見覚えのある天井だった。
探偵社の医務室に運ばれていたのだ。
ナオミ「よかった、さん。大丈夫ですか?無茶して!ナオミ心配しましたわ!」
『ごめんね。あっ、谷崎くんは?あの男は?』
ナオミ「兄様なら、あの男を警察に引き渡してますわ!兄様があんな男にやられるわけないですわ。」
『よかった。』安堵した、谷崎くんが無事で。
ガチャっと扉の開く音がした。
谷崎くんだ。
そっちを見るも、顔を晒された。
きっと怒ってる、朝の約束を破ったし、少しでもナオミちゃんを危険な目に遭わせたのだから。
ナオミちゃんは事情聴取のため警察に同行するらしく、部屋を出た。
『ごめんなさい。約束破って、ナオミちゃんを危険な所へ連れて行ってしまって。本当にごめんなさい。』
涙が溢れそうになるのを必死に堪える。
私は谷崎くんが好きだ。
でも彼には妹であるナオミちゃんが大切で1番なはず。
その彼女を危険な目に遭わせかけたのだから、嫌われた筈だ。
足音が近づいてくる。