第34章 猫の恩返し 中原中也
慌てて振り向くと先程までいた建物は炎に包まれていた。
「ッどういうことだ、、、」
突然のことに頭が回らなかったが、目の前にが現れたことで冷静になった。
にゃーん
「、、、まさか手前俺のこと扶けてくれたのか?」
にゃーん
はぴょーんと軽やかに俺の肩に飛び乗り頬擦りをした。
まるでそうだと云っているように、、、。
「、、あん時は一ヶ月って云っちまったが、、、気が付けば手前がいることが当たり前になってた。あの日窓開けて出て行ったことすげぇ後悔した。」
俺の話を大人しく聞くに俺は言葉を続けた。
「なぁ、、一緒に暮らさねぇか?もう一度、、、今度は手前が死ぬまでずっと一緒だ、、、」
は俺の唇をひと舐めすると、肩から飛び降りた。
そして、、、走り去って行った。
それがの答えだ。
だから俺は追わなかった。
は自由を選んだのだ。
「猫にフラれるなんてなっ、、、」
自分自身を鼻で笑った。
そんな時ふと太宰の言葉を思い出したのだ。
"中也知ってるかい?猫って恩返しするらしいよ?"
「猫の恩返しってやつか、、、」
はもしかしたら俺に恩返しをしに現れたのかもしんねぇ、、、、。
一歩間違えれば自分も死ぬかもしれなかったのに、、、
それに気付いた瞬間、胸の奥が熱くなった。
その時タイミングよく電話が鳴ったのだ。
相手は、、、
「ンだよ、糞太宰」