第31章 愛する人の為、、、 太宰治、織田作之助
カラン、カラン
いつものバーに入れば、見覚えのある先客がいた。
『織田作、久しぶり!一人?』
織田作「よぉ、久しぶり。ぁあ、なんとなくな。お前も一人か?」
『うん、私も織田作と同じやつにしよっかな』
自然と織田作の隣に座り、彼と同じお酒を注文した。
織田作とは太宰くん繋がりで知り合った。
同じ職場とはいえ、下級の彼とは一緒に仕事をしたことはなかったので知らなかった。
でも噂は聞いていた、"殺さずのマフィア"
面白い人もいるものだと思っていたが、まさか太宰くんのお友達とは。
そんなこんなで織田作とはたまに太宰くんや安吾さんと一緒に呑んだりする仲ではあった。
然し、太宰くんと呑みに行くこともなくなったこともあり織田作と呑むことも無くなったのだ。
久しぶりの再会に嬉しくなった私はついつい彼に色々話していた。
聞き上手な彼は相槌を打ちながらも時には的確なアドバイスをくれた。
織田作と話していると心が軽くなっていった私はつい太宰くんのことを相談をしてしまったのだ。
『はぁー、別れるべきだよね。判ってるけど、やっぱりねぇ』
織田作「辛かったな。」
ポンと頭に手を置かれた瞬間、涙が溢れ出した。
織田作の言葉が心に沁み、それと同時に安心したのだ。
私が落ち着くまで織田作はただ黙って、隣に座っていてくれた。
『織田作、、、ありがとう。私決めた!太宰くんとお別れする』
落ち着きを取り戻したは織田作に太宰と別れることを宣言した。
織田作「っ!そうか、、、お前が後悔ないように最後はきちんと太宰と話せよ」
『うん、また何かあったら相談してもいい?』
織田作「ああ」
太宰「ッ、、、、」
そんな二人の会話を太宰くんが訊いていたなんてこの時の私は気付きもしなかった。