第28章 初恋 織田作之助
『うわー!すごく綺麗!!」
「そうだな。」
目の前にはキラキラと光る海。
"一日だけ私の彼氏になってくれない?"
これが彼女の願いだった。
生まれてから殆どを病院で過ごしたは、彼氏どころか友達もいなかったのだ。
どうせ死ぬなら最後はとびっきりお洒落をして、デェトをしてみたいとは云っていた。
デェトなんて俺もしたことがない、不安ではあったがが行きたい場所などを決めてくれるのとのことで彼女に任せた。
そして今は海を見てみたいとのことで、江ノ島にやってきたのだ。
『海の終わりってあるのかな、、、』
「ないんじゃないのか?判らないが。」
『突然終わりがくるかも。もしそうだとしたらその先はどうなんだろ、、、』
「どうなんだろうな。」
なんとなくは自身のことを話しているようだった。
俺は何も云えず、相槌しかうてなかった。
それからはと江ノ島の街を歩いたり、水族館に行ったりした。
楽しい時間はあっという間だった。
気が付けば夜になっていた。
を病室へ送り届け、帰ろうとすると手を掴まれた。
どうしたのかと問えば、最後に一つだけお願いしてもいいかと訊ねてきた。
俺は二つ返事で返した。
するとは少し顔を赤らめ、小さな声で呟いた。
その言葉に俺も赤面した。