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文豪ストレイドッグス 短いお話 【R-18】

第21章 堕ちる。 フョードル・ドストエフスキー


『フョードルくん、どうして、、、?』

「先ほどは申し訳ありませんでした。謝っても許されません。今なら僕は君を諦められる、、、。だから、早く逃げて下さい。でないとまた貴女を傷付けてしまう。」

そう云って微笑むフョードルくんの顔はあの時、大好きだった頃の彼の顔に戻っていた。


悲しそうに微笑む彼を見ると胸が締め付けられた。

自分のせいで彼を変え、そしてそんな彼を私は置いて逃げ出してしまった。

なんて勝手なことをしてしまったんだろう。

彼は私を愛してくれていたのに、、、。



心の中で迷いが生じた。

逃げるなら今しかない。

きっとこのチャンスを逃せば、もう二度と外には出られないだろう。

だけど、苦しそうな彼を置いてもいけない、、、。

彼との思い出が蘇った。

2人で本を読み、クラシックを聞く時間が大好きだった。

たまに外へ出かけて、夜景を見る時間も大好きだった。

"、愛しています。"

彼からの愛の言葉を聞くたびに胸が温かくなったのだ。


でもその大好きな時間は過去でしかない、、、。

あの時の彼はもう戻ってこない。


私は立ち上がった、、、。



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