第20章 良薬は口に逃がし 中原中也
時計に目をやると15時を指していた。
そろそろが任務から戻ってくる頃だ。
一通りの書類確認は済んだことだし、を出迎えてやるか!
そう思い、ロビーへ向かった。
タイミング善く遊撃隊が戻ってきたところだった。
の姿を探すが、見当たらない。
何かあったのではないかと不安が過ったその時だった。
樋口「あっ、中也さん!」
樋口に呼ばれ、振り返ると、、、
目の前の光景に一瞬息が止まった。
「っ!!」
芥川に横抱き、所謂お姫様抱っこをされたの姿が目に入ったのだ。
頬は赤く、ぐったりとして、呼吸も浅い彼女に慌てて駆け寄った。
芥川からを受け取り、すぐさま医療班の元へ彼女を運んだ。
医者からは疲れだと診断された。
確かにここ数ヶ月は働き詰めだった。
遊撃隊はハードで有名な部署、その中でもはかなり優秀な方で、任務にも立て続けに出ていたようだ。
同じ職場だが、ここ最近は互いに忙しく、なかなか顔を合わせる暇もなかったので、の異変に気付いてやれなかったことを後悔した。
点滴を打ち終えたを横抱きにして、自身の部屋へと向かった。
を持ち上げた瞬間、改めて彼女の軽さに驚いた。
ちゃんと飯を食わせねぇとな、、、、。
のことだ、忙しいを理由に飯を食わなかったに違いねぇ。
そりゃ、栄養をとらねぇと体調を崩すだろうし、治るもんも治らねぇ。
眠っているの額にそっと口付けし、俺は一度部屋を出た。