第3章 3話
「あの一件以来ずっと俺だけ苗字で…
初めて会った1年…翔陽だって
名前で呼んで…何でなんだよっ!!」
『お、落ち着いて西谷…
とりあえず…離してもらえると…』
「理由言うまで離さねえ」
『んな…』
いくら夜で暗いとはいえ、非常に
今の状況はマズいとは思っていた
簡単に言えば壁ドン状態で逃げられないからだ
壁ドンと言ってもそんなときめく様な
感じじゃなく、がっちりと両手首を抑えられ
全く身動きが取れない状態だ
「何でなんだよ…なぁ??」
『…』
「言わねぇならその口塞ぐぞ」
『っ…出来るもんならやってみなさいよ』((キッ
問いかけても理由を頑なに
言わないに1つの手段にでる西谷
すると彼女は好戦的な顔で答えた
「…」((ズィ
『ちょ嘘っ…待っ…近い近い近いってば!!』
「…嫌なら言えよ」
好戦的な顔は何処へやら…
いざ顔を近づけると西谷に慌てふためく
唇どうしがくっ付く寸での所で止まって
再び問い掛けると観念した様に答える
『…西谷が素直にならないから』
「は…??」
『私だって…呼びたいよ
前みたいに”夕”って…呼びたい』
「じゃあ呼べばいいじゃねえか」
『っ…何で分からないの!?』
「分からねえから
こうやって聞いてんじゃねえかよ!!」
『素直にならない西谷なんて嫌い!!離して!!』
「あっ…おい!!」
『西谷のっ…馬鹿!!』
これでもかってくらいの力で西谷の手を
振り払ったは最後に一言だけ言って
追い付かれない様にバタバタと逃げて帰って行った
「…何も泣く事ねぇだろ…
俺はただ前みたいに…無邪気に
名前呼んで欲しいだけなんだぞ…」
最後、振り向き様に言われた
一言の時には泣いていた
「…クソッ…らしくねぇ…」
そう独り言ちて西谷は
トボトボと歩いて帰って行った