第4章 【育児編】
「あー…哺乳瓶、モロに持っちゃったんだ?」
「うー…ごめんな。俺でも作れるようにお湯の温度
と湯量設定できるやつに契約変えてくれとったのに…」
「謝んないでいいって!大丈夫大丈夫!
絶対できるようになるから一緒にやってみよ!
はるとみーちゃん、いまメリー見てて
おとなしいからそのすきに一緒に作ろ!」
「廉は猫舌でもあり猫手でもあるんだから、
お湯入れた哺乳瓶を持つときはこの辺ね」と
海人が具体的に作ってみせながらやらせてくれて、
ようやくできたミルクをソファに並んで飲ませる。
病院では看護師さんが作って、適温の状態にしてくれ
とったミルクを飲ませとっただけやったのに
勝手に世話しとった気になって、
ミルクすら満足に作れんかった俺に呆れるでもなく
「一緒に作ったら丁度2個できるから双子で
よかったよね~」なんて、言うてくれる海人は
間違いなく今年も俺のベストBAE賞。
「なんかさ、腕の中で小さなお口で一生懸命飲んで
生きようとしてるのえぐ可愛いくない?もし、廉が
おっぱいでる体だったらさ、オレがこの愛おしさ
知ることなかったんだなぁって思うと、
逆に、幸せ感じちゃうかもって感じ…!」
やっぱり、海人は優しい…。
腕の中の小さな命をお互いに抱えたまんま
俺と海人は触れるだけのキスをした。
病院のときとおんなじように
やっぱり性欲はわかんかったけど…
海人を愛おしく思う気持ちは一生モンやから
そのうちまた普通に復活するんかもな、とか。
そんなことを思いながら。
***
退院後、1週間はオレも休みをもらって
廉と一緒に慣れない育児に奮闘して
少しずつではあるけど、廉もオレも親スキルが
身についてきた気がしてきてホッとした。
その頃には産後1か月が経って
夫婦生活が解禁になっていたから、珍しく
はるみーちゃんが早く寝てくれたときに一度、
誘ったときに断られてしまってからはオレも
二の足を踏んでしまって…誘えずにいた。
廉は体の回復のこともあったから産後6週間育休を
とっていた廉は5週目と6週目は昼間シッターさんに
協力してもらっていたとはいえ、はるみーちゃんに
どっぷり生活がなかなかしんどかったみたい…