第4章 【育児編】
でも、自分のなかの限界がわからなくなった結果、
倒れたうえに大きな仕事に穴あけちゃって、
元太をはじめたくさんの人に迷惑かけちゃったし
我ながら無謀だったな、とは思う。
思うけど、
廉の為にオレができることをしたいっていう衝動に
突き動かされた当時の自分の行動を後悔したこと
なんか一度だってないし、そのとき廉のことだけを
想って頑張ったオレのことは
一生、未来のオレから褒め続けてやりたいと思う。
「でもこの家さ、マジで最高じゃない?」
「やんなぁ!夢あるわ!」
「ね!会議は勿論、パーティーだって余裕でできる
広さのリビングに加えてレッスン室作れたし
夜ははるみーちゃん預かってもらうスタッフルーム
がある1階部分だけでも最高すぎるし!」
「しかも、何が最高って玄関からシュークロ通って
直通で風呂行けんのよ。スタッフさんも出入りする
ってなったらやっぱ、そこが一番気になるやん?」
「や、まぁ…オレは別にだけど、廉は…ね 笑」
めっちゃ同意してもらえるつもりで話しだしたのに
オレと海人には温度差があって隙間風を感じる。
いつもやったら海人との違いを楽しめる俺やけど
これから一緒に育児していく同志として
その温度差が無性に寂しく感じて…
「はぁ?!それはさすがに親の自覚が足らんわ!
お前ちょっとは気にしろって!」
え、何を?みたいなぽかんとした表情をした
呑気な海人に腹が立つ。
「あーもー…ほんまわからんの?やって考えてよ!
今はまだ動かんけどもうじきはると美月
はいはいしだすやん。それを外からの菌持ち込み
放題されてみ?ちょっとゾッとするやん!」
「…まぁ、確かに言われてみればそうだね!」
……言われてみればそうだね??
逆に言われなわからんのかお前は…!
…あかん、ほんまイラついてきた…
「そんなんも言われなわからんなんて
それはさすがに親として…どうなん?」
「うーん…でも、、さ、」
視線を下に向け視線を彷徨わせながら言い淀む海人。
…あー…でたでた。言いにくいこと言う前
絶対こんななるよな、コイツ。
ほんまわかりやす…苦笑
売上に関する話する前もいっつもこんなんやしさぁ
「…でも、あんま神経質なのもどうかなって、
オレはちょっと…思ったりする、けど。」