第2章 【妊娠、出産編】
「俺ら…ちゃんと、親できるんかな、とか…
親の顔さしとるせいで
嫌な思いさせるんやないか、とか…」
心配する俺の頭を海人がふわりと撫でる。
「なんっ?」
「ふふっはるくんとみーちゃんは幸せだなぁ
って思って!」
「不安やって話しとんのに、何でそうなるん!」
「だって…まだ産まれてくる前からそんなに
子どものことを考えてくれてる廉が
親になってくれるんだよ?幸せでしょ!」
泣き虫やったハズの海人に抱きしめられて
今の俺はこんなにも海人に支えられとるんやなって
思い知らされる…。
「考えとるだけで、ちゃんとできるかの保証は
どこにもないけどな…」
「それはそうだけど…でもさ、それでいったら
オレたちが2人になったときもそうだったじゃん?
あのときだって先が見えない不安に押し潰されそう
だったけど、でも、廉と支え合ってあのときの決断を
正解にしてこれたとオレは思ってるから!」
「それは…ほんまに、そうやんな。」
「…でしょ?笑 マジでぶっちゃけるとさ、
なにものの特典で2人でサウナしたとき
ヤベってなったでしょ?笑」
「まぁ、正直、、それは否めん笑」
「たくさん話して…そこからこうなれたんだよ?
何だって、できる気がしない?」
ニコッと海人が微笑むと
それだけでそんな気がしてくるから不思議やんな。
「それに…背負うのは一人じゃないんだから!
なんせ、オレたちも親1年目なんだから
迷うことも間違うこともそりゃあるとは思うけど
オレと一緒に成長していこうよ!ね?」
確かに海人の言うとおりハルとミヅキは幸せやと思う。
海人が親なんやもん…
愛おしさの持って行き場に困った俺は
抱きしめられとった海人をぎゅうっと抱きしめ返した。
***
2月28日
出産前日、
俺の病室に一緒に泊まりこんどった海人が
朝から絶飲食の俺にかいがいしくうがいをさせて
喉の渇きを紛らわしてくれたり、オペ室に行くまで
俺の手を握って送り出してくれたおかげで
落ち着いた気持ちでオペを迎えることができた。
もちろん不安はあんねんけど
海人がオペ室の前で待っとってくれとるから
思ってたより全然大丈夫で。
意識なくなると思っとったから産まれたって感覚
薄いんやない?って心配しとったけど、
そんなこともなくて。