第2章 【妊娠、出産編】
「オレ、このためにボクシングに通って
体力つけてきたし!ライブでもずっと元気だし!
体力あんの知ってるでしょ?」
「…すぐエロいこと言うやん笑
アイドルしとるときは俺が下ネタ言いかけたら
止めにかかるくせして苦笑」
「それはそうじゃん笑 アイドルだもん!
それに…別にオレ、エロいこと言ってないからね?
体力あるから寝不足くらいでバテないよって
話なだけだし!
エロく感じる廉がエロいんじゃない?笑
とにかく!寝るとき別々だなんて
そんな淋しいこと言わないでよね!廉」
*
「ただいまー」
「おふぁえひぃー!」
「…廉、また歯磨いてんの?苦笑」
お風呂に入るために脱衣所に直行すると
洗面台で歯を磨いていた廉に出くわす。
洗面所の入り口にいたオレにちょっと待ってと
右手で制止してうがいをする。
「妊娠中は歯周病リスク高まんねんて!
口腔ケア頑張ってくださいねって
病院でも言われたし!」
「確かに、それはそうだけど…
ちなみに廉、それで今日何回目?」
「今日は8回かましてるわ」
「…ガチ?苦笑」
「ガチ」
「ま、まあね?廉の気持ちを尊重したいから
否定はしないけど…」
海人と俺はお互いに否定しないし、受け入れ態勢は
万全で。でも、子育てしとるとそれだけじゃ
済まんかったり、譲れんこともでてくるんかな…
「けどさ、さすがに磨きすぎじゃない?苦笑
廉は普段から歯磨き粉の匂いがする
くらい口腔ケア頑張ってるんだから、
いつもどおりで充分だとは思うけど!
歯茎なくなるよ?笑」
「なくなったら海人、くれるんやろ?笑」
「もちろん、廉の一部になれるんなら、喜んで」
「コイツヤバい笑 目ぇがもう、ガチやもん笑」
「いつだって、本気だからね」
「うちの海人さん、ガンギマリなのよ笑」
***
ベッドの上でお互い好きに過ごして
そろそろ寝ようかってタイミングで
廉が突然ガバっと起き上がる。
「海人海人!どうする?
いよいよ来週…出てくんで!!」
「う、うん、そうだね…早く会いたいね、」
「のんきなもんやな…なぁ、わかっとるん?
2人きりの生活あと一週間やで?
どうしよ…むっちゃ心配なってきた…」
「…心配?」
「そらそうやろ!これからははるとみづき
2人の人生の責任もおうことになるんよ?」