第2章 【妊娠、出産編】
と思ったときは既に遅くて、
どちらかの指が触れてメッセージが開かれてて。
“幸せそー笑”
紫耀からのメッセージには
ただ、それだけが綴られていた。
これが紫耀なりのおめでとうなんだなって
思うと同時に、そう打てなかったのは
まだ廉に気持ちがあるのかな、とか…。
どう返そうかな、って迷い始めたときに
廉が…
“幸せよ。おかげさまで”
“じゃないと困るわ!”
“ありがとうな、紫耀”
メッセージのときは関西弁にならんように
気をつけとるけど、俺からやって暗に伝えたくて
そう、送信した。
暫く間が空いて…
“おめでと”
“海人にも伝えといて”
そう、返信がきた。
そのやりとり画面を海人に見せると
「幸せにしなきゃ紫耀に殴られるな、これ…苦笑」
なんて。
〜妊娠9ヶ月〜
公表前は1人でこっそりと通院していた廉だけど
公表後は健診やパパママ教室に
できる限り、付き添った。
最初こそ好奇の視線が気になったけど
「海人と一緒に親になってく感じして嬉しい!」
なんてニコニコする廉を見てると
そんなことは取るに足らなくて。
あんなに情緒不安定だった廉が懐かしいくらい
穏やかに過ごせてるみたいで
改めて公表してよかったなぁと思う。
呼名されて診察室に入ると出産方法について
打診があって。
「先日撮った骨盤のレントゲンから
永瀬さんは児頭骨盤不均衡と考えられるので、
難産が予想されます。双子ということもありますから
医師の立場からは帝王切開をお勧めします。」
「…そうなんですか、、海人どうしよ?」
「どうしよっか…出産日をある程度こっちで
決められるから帝王切開だと確実に傍にはいられる
と思うけど、、」
「えっ?!そうなん??
先生!そうなんすか?!?」
「そうですね、37〜38週の間で決めていく
感じになります。」
「俺の場合、いつがその週にあたるんですか?」
先生がカレンダーを見せながら指をさす。
「2月末から3月の初週…ですね」
「俺と海人の誕生日の間らへんやなぁ…」
先生から示された日付を見て何気なくそう零すと
「えっ!?待って、廉!!ジャストかも!!」
海人がスマホ画面を慌ただしく操作しだして
「ビンゴ!!」俺に画面を見せてくる。