第1章 【僕にできること】
ここのところ廉の調子がよくない気がする。
ていうか、絶対にそうなの!!
異常に汗かいたりもしてて。
すごく、、すっごく心配してる…。
だけど、心配されるのを嫌がる廉だから
「…れん、大丈夫?」
声にならないそのたった一言を
今日も飲み込む…。
*
…まずい、気がする。。
紫耀から番関係を解消されてからくる
初めてのヒートが近づいてる気が、する。。
紫耀と番ったのは…俺のヒートが酷くなって
活動に支障をきたすようになってきた頃やったけど
俺と紫耀は長いこと、そういう関係で…。
***
『れん!れんっ!!』
『な、なに?』
『お前さ…、今日はもう上がったら?』
『…えっ、大丈夫よ?俺。』
確かにその日はだるかったけど…
まだヒート未経験やった俺は
まぁこんな日もあるよなぁ、くらいに思っとって。
『大丈夫じゃねぇから言ってんだろ!!
あーー、もう!!
ちょっと、お前こっち来いって!』
ダンスのレッスン中やった俺の腕を掴んで
空き部屋を探す紫耀についていったのが
始まりやった。
普通、1シーズンに1回訪れるらしいヒートが不順やった俺はその後も自分ではいつくるんかわからんくて。
そう、ヒートってな?だいぶ個人差、あんのよ。
俺は生理も来るからわかんねんけど
生理とおんなじで。
ちゃんと規則的に来る人もおれば、
俺みたいに不順な人もおって。
しんどさもまちまちで。
俺は、ありがたいことに生理痛とか
ヒートのしんどさは軽い方やねんけど
紫耀曰く、フェロモン…えぐいねんて。
紫耀からいつも気をつけろだとか、
人との距離近すぎとか、警戒心なさすぎとか
怒られとって。
あまつさえ
『もうさ、わかんないなら1回痛い目みれば?』
なんて言われる始末で。
…のくせ誰よりも早く
俺のフェロモンの変化を感じてくれる紫耀は
見捨てることもせず最後まで守ってくれとって。
『れん、、もしかしてそろそろだろ?』
『…かもしらん。腹張っとる気ぃする。。』
『…じゃあ1週間は俺ん家に帰ってこいな。
飲み会も禁止…わかった?』
『ん。』
*
その日、自宅に帰ると噎せ返るフェロモンの匂い
と共に廉の靴があって、急いでリビングに向かう。
『しょぉっ!遅いやん!!』