第2章 【妊娠、出産編】
そんな廉を尻目に
綺麗にセットされたパリパリの髪を洗う。
「公表するんならあの…芸能人お決まりの
FAX報告の文書、作るんよな?」
髪を洗い終わるまで待ってくれてた廉が
体を洗い始めた俺に話しかけてくる。
「ん、会見よりそっちがいいかなって…
FCの皆にはその前日に動画で報告したい
とは思うけど…」
「やんな。まぁ、文章はいい感じに過去の報告文を
参考にさせてもらって…」
「それ…世間ではパクりって言うんじゃないの?笑」
「やからいい感じに、言うてるやん笑
丸パクリやなくて大学んときのレポートみたい
な感じで適度に参考にさせてもらう分には
ええやん」
「知らないよ!笑 オレ大学行ってないもん!涙」
でたでた笑 この大学行ってないキャラむっちゃ
だるいのに未だにちょいちょい出してきては
俺を困らせてくんのよな…笑
「…まぁ、そこら辺は心配せんとチームでやれば
上手いことなるから。問題は署名よな」
「署名って…サイン?」
「おん。普段は俺のが先輩やし年上やから俺から
やん。上下のときは俺が上やし、左右のときは
左がちやん?」
「まぁ…、そうだね」
「けど結婚の報告ってなったら…女が右やん」
「うん、まぁ…」
「…っちゅーことはこの場合、、
俺が右ってことなん…?」
「かなぁ…苦笑 じゃあ、これ系の報告は
廉、右固定、ね笑」
海人が笑いながら湯船に入ってくる。
2人で風呂に入るとき普通は背中に預けるスタイル
やと思うんやけど、俺らは向き合うスタイルで。
まぁ、理由は…俺が濡れ髪の海人を
好きすぎるせいなんやけど、。
「何なん、右固定て苦笑」
「なんか…一部界隈ではそういう言い方
するみたいよ?」
「…界隈?」
「ほら、決断する前にいろいろ調べたって
言ったじゃん? たまたま、検索してたら
ひっかかったの」
「…何が?」
「なんていうか…男同士の、妄想…?苦笑」
バシャッと水を掬って顔を濡らした海人が
その流れのままに髪を掻き上げる。
「…そんなん、あんねや苦笑」
そんな海人に
ドキドキしとるなんて知られたくなくて
俺も海人の真似をして顔を濡らす。
「すごいよ?!廉も一緒に見る?笑」
「……あ、やっぱ、ダメ。」