第2章 【妊娠、出産編】
「海人っ待って!
あっ、浅めに、って言われたから…」
「……最大限、努力はします」
「そっそんなケモノみたいな顔で
そんなこと言われても、信じられんやん!」
「オレたちの子はオレらが仲良くしてんのが
一番嬉しいはずだから、ね?」
「ね?やないのよ笑」
「大丈夫、信じて…!」
確かに言わせたのはオレだけど
想像の何億倍も上の爆弾を落とされたんだから
こればかりは、許されたい。
廉のことが好きすぎるパパでごめん。
陽と美月はちょっと激しめの揺りかごに
乗ってると思ってどうか、いい子で眠ってて。
〜妊娠7ヶ月〜
「なぁ、そろそろ腹隠すの限界やない?」
「…確かに、ここ最近急激にボン!
っておっきくなった気がするね…」
「そのさ…それも含めて、どうする…?」
「どうするっていうと…」
「はぁ?あほなん?!この流れやったら
このまま秘密にしとくかってことしかないやん!」
やっぱり、その話だよね…。
今まで先延ばしにしてたけど、確実に
いのちは日々廉のお腹の中で成長してるわけで。
「…廉は、どうしたい?」
「また、、また俺なん!?
海人、いっつも最終決定は俺に委ねてくるやん!
それってさ…責任取りたないだけやないん?!」
「ちがっ!!それは絶対に違うから!
仕事も今も、廉を尊重したいから訊いてんだし!
今回は特に…産むのは廉なんだから
廉が望む方にした方がいいって思ったから…!
オレは廉に後悔してほしくないだけだよ、」
「ふんっ!そんな当たり障りのないこと言うて…」
廉はそのまま自分の個室に勢いよく飛び込んで
「絶対に入ってくんな!」なんて、喚いてる。
固く閉ざされたドアに手を当てて向こう側で
拗ねてる廉に声をかける。
「……廉、開けて?オレ、明日からのイギリス
廉と喧嘩したまま行きたくないよ…」
「そんなん、海人の都合やん!!」
「うん、ごめん…でも、エゴでもなんでも
オレはこんな気持ちのまま廉と離れたくない…」
「海人は明日から忙しいんやから寝や!」
そう言い捨てたあと、
内側から鍵をガチャリと閉める音がした。
こうなった廉は頑固で
長期戦になることがわかってるから
寝室からクッションと羽毛布団を引っ張りだして
廉の個室の前に座り込む。