第2章 【妊娠、出産編】
「けど、なんか口に入れとかんと
気持ち悪いんやもん…」
「てか廉、それってもしかして
食べづわりじゃない?」
「…食べづわり??そんなんあんの?」
オレが渡したスマホ画面を素直に見る廉。
「…あぁ!!これかもしらん!!
ここに書いてあること、めっちゃわかる!」
「やっぱ、そっかぁ…じゃあそれは仕方ないよ。
明日病院でそう言いな?」
「わかった。けど…これ、ずっと、続くん?」
廉が不安そうに訊いてくる。
「大丈夫、大丈夫!ずっとじゃないよ!
安定期に入るまでと思うから
あと1ヶ月…長くて2ヶ月位じゃない?」
安心させようと背中を擦りながらそう伝えると
「よかったぁ…」なんて声を震わせる。
「…心配してたの?」
「そらするやろ!!
俺…普段、間食なんかせんのにしちゃって
俺やないみたいになっちゃって…」
「うん、お腹の中に別の命がいるってやっぱ…
すごいことだよね。ありがとうね、廉。」
「グミまで食っちゃうし…」
「うん笑」
「顔に肉ついてきた気ぃするし…」
「それはそれでかわいいけどね?」
「けど、目…いつもよりちっさく見えるし…」
「ふふっ、多少はね笑」
「海人はズルいよな。今の俺よりむちむちでも
俺より目ぇでっかくてさ…」
「そう?自分じゃあんまよくわかんないけど苦笑」
「いっそ、海人が妊娠できる方やったら
よかったのにな…グスン」
…え?さっきは看護師さんに怒ってたと思ったら
こ、今度は…泣いてる?!
「…どうしてそう思うの?」
「俺はどんな海人でも好きな自信あるもん。
むちむち海人、可愛くてたまらんし。
なんなら、あの二の腕戻ってきてほしいし…!」
さっきまでしおらしく泣いてたのに
次の瞬間、絞られたオレの二の腕を
噛もうとしてくるから、油断も隙もない苦笑
「ちょっと!それは聞き捨てならないんだけど!
オレだって…オレこそ!どんな廉も好きだよ!?」
「ん…ありがとうな。けど、華奢な体型は…
俺のアイデンティティでもあるわけやん。
なのに、俺がむちむちしていくなんて、
海人、聞いてないやん。俺も聞いてなかったし。」
「あのねぇ!!オレは廉が華奢だから
好きになったわけじゃないからね?!」
「また、俺を慰めるためにそんなこと…」