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【戦国BSR】幸村の影武者の非日常的な日常集

第7章 おやつをたべよう


地面に這いつくばりながら、許しを請ううめ。
佐助はしゃがみ込みわざとらしくため息をつく。今日うめの前での三度目のため息。優秀な忍びであってもこうも簡単に幸せは逃してしまうものらしい。うめを逃すことは絶対にないが。

「そんなに嫌か? 隊の連中じゃ顔合わせ辛いって、珍しくしおらしいことをのたまうから、休みまで手配してやったのに」

うめは幸村の影武者だ。だからといって、特別扱いはない。万年人手不足の武田のこと、人手が必要になれば、通常の忍びと同様に諜報や敵地での撹乱の要員として駆り出されることだってある。くノ一であれば、男の佐助よりももっと効率的に行う手段もある。主がそういった方面を好まず、たまたま今までうめに頼らなければならないほどの事態にならなかっただけのこと。

「ごめんなさい」

しゅんっと効果音がしそうなくらいしょぼくれて謝るうめ。いつもならこのくらいで勘弁するが今回はそうもいかない。
佐助とてうめにそのような修行や仕事はさせようとは考えていないが、先日の戦場半裸案件もあり、どこで何がどうなるかがわからない。万が一どこの馬の骨かもわからない輩にとならないよう、念には念を入れて、アレを学ばせなければならない。

「謝って済むんなら俺様だってこんな悩まないっての。もう他にっていったら……かすがにでも頼むしかねえな」

「かすがちゃん女の子じゃん」

「性別関係なくできるもんなんだよ。まあ、本番にはならないけどな」

佐助は上杉にいる幸村に匹敵する布面積のくノ一を思い浮かべた。
上司に心酔する乙女そのもので純情かつ愛らしい面のある彼女であるが、正しい意味でのくノ一としてはこれ以上ない逸材である。悩ましい姿態を持つ彼女は、自身がどのように思われているかわかった上での挑発を仕掛けることもできる。

今は敵方にいる上、佐助に対し刺々しい態度をとるが、ああ見えて面倒見は良い。
話さえできれば、年の割に幼過ぎるこの妹分を不憫に思い、手を貸してくれるかもしれない。
いや、しかし、花を飛ばしながら行き過ぎた姉妹になるなんてことは。
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