第6章 独眼竜が出てきたらどうしよう
突如、突きつけられる切っ先。忍びの目にも止まらぬ達人の居合だ。
「Ah? お前どういうつもりだ?」
なんとか政宗の声で返せたものの、小助の心臓はバクバクと音を立てている。涙は寸でのところで止めたが、今のは危なかった。政宗の特徴はそこそこ掴めているし、ボロは出していないはず。
まさか電波で。主だけでなく従者も雷撃使いだということに今更ながら思い当たる。
「テメェこそどういうつもりだ! 政宗様の顔して、なんつう禍々しいもんぶら下げてやがる!!」
小十郎の刀がゆっくりと下に進み、小助の下半身で止まる。
今更ながら、小助は自分の格好が前の開いた羽織だけであることを思い出した。
政宗の姿とはいえ、破廉恥極まりない。本当に今更ながら羽織の前をかき集め、その肌を隠す。
「Ha! お前にだってついてんだろうがよ!」
「ついてるか!! そんなもん!!!」
苦し紛れの一言が気に障ったのか、怒声だけで小助の頭が割れそうだ。
なにより顔が怖い。本当に怖い。右目の主も怖かったが、従者の方はまた別の次元の怖さがある。怒りは我を忘れさせるなんて言うが、達人の気を発するこの御仁には全く当てはまらない。少しでも動けば、即座に首と胴体がおさらばするだろう。
こちらは小太刀一本勝ち目はまずない。いっそ投降するか。