第2章 呪われた少女
side.七海健人
目的地に着き、
目の前の物件を見上げた。
成程。
あそこが例の部屋か。
玄関を覆うように広がる呪い。
確かにあれではドアを見つけることは不可能だろう。
建物の裏に回り、
窓を確認する。
そこにも呪霊がついていた。
その子は死後呪いに転じているか、
呪いに殺されているかもしれないな。
予め住人の避難は済んでいる。
私は帳を下ろして中へ入った。
原因となる部屋に近づくと、
呪霊が襲ってくる。
幸い呪霊の等級は低く、
直ぐに祓うことが出来た。
“コンコン”
「苗字さん。居ますか?居たら返事をして下さい」
ドアをノックして、
要救助者の安否を確認する。
「…います…でも玄関が開きません…」
酷く憔悴し切った声が聞こえてきた。
玄関のドアノブを引いてみる。
呪いは祓ったが、
まだドアは開かない。
「今、助けます。扉から出来るだけ離れていて下さい」
私はネクタイを緩めて右手に巻きつけた。