第8章 狂おしい夜**
side.七海健人
漸く熱が冷め、
名前さんを背後から抱きしめる。
そして幸せの余韻に浸った。
「…名前さん」
「んー?」
「好きです」
「…私も」
幸せそうに、
私の腕枕で微睡む名前さん。
私はそんな彼女の首筋に跡を残す。
「食べたり眠ったりしなければ、ずっとこうしていられるのにね」
「人間の時間は有限です」
「…分かってるけど…もっとこうしていたいんだもん」
貴女の願いは
全て聞いてあげたい。
出来ることなら貴女のために、
時間を止めてあげたい。
それでも時間だけは
皆に等しく与えられ、
止める術はない。
私は貴女と過ごす時間を
愛おしく思える。
時が流れて、
変わっていく貴女を
ますます好きになる。
「私は名前さんと毎日愛し合えれば、それだけで幸せです」
「……あの…七海さん?」
「はい?」
「毎日…これ、するの?」
「そうですが、負担ですか?」
「………もう少し加減できたりしない?」
「仕事が疎かになるようでしたら、その時は別の方法を考えましょう」
「…うん…」
その時は私と結婚して、
家庭に入って欲しい。
そんな事を私が考えていると
名前さんが知ったら、
貴女はどんな反応をするのでしょう?