第2章 呪われた少女
side.七海健人
分厚い扉を壊した。
この玄関は、
後で弁償をすればいい。
それよりも…
多少、明るくなった室内に入る。
「苗字さん。どこですか?」
「…ここ…ここです…」
部屋の隅から聞こえてきたか細い声。
その声を辿ると、
彼女は壁際に小さく丸まっていた。
きっと怖い思いをしたのだろう。
「もう大丈夫ですよ」
少女と目線が合うよう屈み、
出来るだけ優しい声で話しかける。
「…やっぱり…助けにきてくれた…」
私の顔を見た少女は、
困ったように笑った。
あの日。
貴女と出会わなければ、
私は幸せを知らないままでした。