第6章 人生を変えるキス*
side.名前
確かに泣いたのは五条先生のせいだけど、
何で七海さんがそれを知ってるの?
五条先生から聞いたの?
私の気持ちまで聞いてないよね?
怖くて七海さんの目が見れない。
思わず顔を背けてしまった。
「……………私は…」
七海さんが好き…。
思い切って、
そう伝えたいのに、
胸に何かがつっかえる。
言葉の変わりに出てきたのは、
大粒の涙だった。
「名前さん…泣かないで下さい」
七海さんは軽々と私を抱き上げると、
そのままソファに腰を掛ける。
そして向き合うように
私を膝の上に座らせた。
「貴女に泣かれると、私は困ってしまいます」
逞しい腕の中に閉じ込められる。
優しい貴方が、
私を安心させようと
必死なのが伝わった。
私が泣くと何で困るの?
他の子なら大丈夫なの?
『行動あるのみでしょ?』
五条先生の教えが脳裏を過ぎる。
「…七海さん…」
「何ですか?」
精一杯の勇気を出すから…
私のこの想いを、
受け止めてくれる?