第4章 安心できる場所
side.七海健人
「………七海さん…」
縋るような
私の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。
目を開けると、
先に眠ったはずの名前さんが
私の足元に立っている。
「…どうかしましたか?」
「………起こして…ごめんなさい…」
俯く名前さん。
私の聞き方がいけなかったのだろうか?
謝って欲しい訳じゃない。
ここに来た理由を知りたい。
私は身体を起こして
彼女と向き合った。
漸く名前さんの身体が
震えている事に気づく。
「何かあったのでしょう?」
「………」
「話してみて下さい」
彼女の手を握り、
優しく語りかける。
「………暗い部屋が…怖くて……」
「…では、電気を付けてみては如何ですか?」
「………一人も…怖いんです…」
成程。
そういう事か…。
「一緒に寝ますか?」
「えっ?」
そんなキョトンとした顔で
見ないで頂きたい。
私だって、このようなことを聞くのは
恥ずかしいのだから。