第3章 私の王子様
side.七海健人
「まあまあ。そう焦らないの」
「で、どうなんですか?」
イライラする。
この人のおふざけに付き合っていたら、
胃に穴が空きそうだ。
「正直、分からないな。彼女に直接聞いてみないと」
漸くまともな答えが返ってきた。
五条さんでも分からないならお手上げか。
「七海さん。追加の資料持ってきました」
「ありがとうございます」
彼女のことを考えていると、
今朝の補助監督が私の所へやってくる。
「彼女は苗字名前。17歳。1ヶ月前、唯一の肉親の母親が亡くなったそうです」
「そうですか。それで、彼女の保護者は?」
「それがどうも…」
言葉を濁す。
まさか後見人もいないのか?
「何でも不吉な力があるとかで、身寄りすらないようです」
「そうですか…」
やはり持っている側だったのか。
そうなると、
今後、また同じような事が
起こるかもしれないのか…。
次は周りに被害が出るかもしれない。
私は眉をひそめた。