第12章 球技大会
及「全然いいよ。ちゃんと頬っぺた冷やしなね」
優しく微笑みながら及川さんは言ってくれたけど、国見くんは違う。何も言ってくれない
国「、、、、。」
少しの沈黙の後、国見くんに腕を引っぱられる
国「凛、行くよ」
「え?ちょっ、、、」
及川さんをその場に残し、どんどん進んでいく国見くんに為す術なく着いていく
怒ってるのかな、、。国見くんの表情が見えなくて怖い。
しばらくして国見くんは、私たちの教室の前で足を止めた。
全然話してくれなかった彼が口を開く
国「なんで言ってくれなかったの」
「試合中だし、迷惑かけると思って、、」
国「すげー心配したんだけど」
「ごめん」
国「気絶する程の接触で、平気な顔するなよ。お願いだから、強がんないで。俺の前だけでもいいから」
怒るとかじゃない。凄く悲しそうな辛そうな顔。かえって迷惑かけちゃったな。
「本当にごめんね。次からは絶対無理しない!迷惑もかけないようにする」
こんな風に大事にしてくれる友達がいて良かった。嬉しくて少しニヤケてたみたい
国「何笑ってるんだよ。真面目に言ってるんだけど」
「ごめん、嬉しくて!大事に思ってくれてるんだなって」
国「当たり前。だってす、、、友達だし」
国(危な、好きとか言いそうだった。それは今言っちゃダメだ)
俺は喉まででかかった言葉を無理やり押し込んだ。チャンスが来たら逃すつもりなんてない。でも今は、その時じゃないって分かってるから。
国見くんと和解した後(喧嘩だったのかな)2人で体育館へと戻った。
芽「おっそい!めっちゃ顔腫れてるし全然大丈夫じゃないじゃん!ちゃんと言ってよ、水くさい」
芽衣にも怒られた。
その後は、みんな試合に戻って、2セット目を始めた。私は安静にって出させて貰えなかったから、得点係をしながら試合を眺めてた。保健室に置き去りにした及川さんを忘れて。
その頃の及川さんは
及「誰も戻ってこないじゃんか。酷いよ、俺が運んできたのにさ。美味しい所、国見ちゃんに持ってかれたし。なにさ!」
独り言にしては大きい声で文句を言いながら、家へと帰っていった