第10章 初デート
その姿にまた愛しさが積もる。
「そーいえば、今日親は?」
凛「お父さんは出張でお母さんは夜勤なので、帰ってこないです。」
「まじか。結構熱あるし、普通に心配だわ。俺今日泊まってもいいか?看病してやれるし。」
凛「え、でも悪いですよ。移るかもだし」
「彼氏なんだしそこは甘えとけ。何なら俺に移しとく?」
そう言って口を近づけてみれば、また恥ずかしがった。
凛「じゃあ泊まって欲しいです。1人で心細かったので嬉しい。でも、風邪を移すのはマネージャーとしても許せません。だから、変わりにハグしてもいいですか?」
何を思ったのか、突然甘えてくる彼女に困惑した。
(は、、は!? 熱で頭おかしくなったのか。こんな甘え方されたらこっちが持たねーよ。)
内心パニックになりながらも、ベットに腰かけて、ハグをした。
(すげー柔らかいし、いい匂いする。これはかなりまずいわ、ハグだけで止まれっかな。)
なんとかハグだけでこらえた。
(まじで誰か褒めてくれ。)
恥ずかしかったのか話題を変える凛。
凛「お風呂全然使って下さいね。あと、服はこれお父さんの使ってください。お客さん用の布団はクローゼットの中に入ってます。ちゃんとおもてなし出来なくてすみません。」
「ありがとな、服借りるわ。布団も自分で出せるから、安心して寝とけ。」
服を受け取り、風呂を借りた。
他人の家は新鮮だ。服の匂いも、シャンプーも何もかも違う。当たり前だけど。
ドライヤーを済ませ、部屋に戻ると薬が効いたのか、彼女は寝ていた。起こさないようにそっと、布団を敷いて電気を消す。
寝ようとしたが寝られず、彼女の様子を見てみる。
冷えピタが剥がれそうだったので、冷えピタを替えた。しばらくすると、寒いのか、震えながら歯をカチカチ鳴らし出した。毛布はもう使ってるし、暖房もついている。
(どうすっかな。)
悩んだ末、凛の布団に入る事にした。
「誤解すんなよ。あっためるだけで、手出したりしねーから。そんな事しよーもんなら、茂庭さんに殺されるし。」
誰に向けてか分からない言い訳をブツブツ言いながら、壁の方に凛を寄せ、横に入る。体はすごく熱いのに、寒そうに震える彼女を抱き寄せ、一晩中温めた。