第10章 初デート
二「なんかさ、手熱くね?来た時思ったけど、顔も赤いし」
(やばい!バレたら、せっかくの貴重なデートが無くなっちゃう。)
「そ、そんな事無いですよー。二口さんとのデートに緊張してるだけで、、。」
必死に隠そうと、嘘をつくと目が泳いでいたのか少し不機嫌になる二口さん。
二「ふーん。そこまで言うならおデコ触ってもいいよな?熱ないなら、体温測っても問題ないもんな。」
意地悪な笑みを浮かべる彼が私の頭を抑え、もう片方の手をおでこに置き体温を測り出す。
(やばいやばい。バレちゃうよ。近いし、余計熱上がっちゃう。)
二「お前ほんとバカ!しっかり熱あるじゃねーか。」
二口さんを怒らせた焦りと、体の怠さがピークに達した。
「ごめん、、なさい。どうしても行きたくて。せっかくの貴重なオフでデート誘ってくれたのが嬉しかったから。」
謝りながら、体が動かなくなった私は二口さんにもたれ掛かる。
二「俺は凛に無理させてまで行きたくねーよ。それに、デートする機会なんてこれから先沢山あるだろ。今日のデートは延期になるだけだ」
優しい顔をした二口さんはそう言うと私をおんぶして、家まで送ってくれた。家に着き、ふと思い出す。
(あ、今日誰も家に帰ってこない日だ。お父さんは出張だし、お母さんは看護士で、今日は夜勤なのだ。)
熱のせいか、急に心細くなった。
「二口さん、かえらないで、、。」
帰ろうとした二口さんの服の袖を掴む。
(え、。私何言ってるの。デート台無しにして更に、帰るなって我儘すぎるよ。絶対引かれた。)
二「、っ、、!ほんとにお前は、それ無自覚でやってんの?今、家に俺とお前しかいねーよ?襲われても文句言えねーぞ。」
「え、、?」
何のことか分からず、キョトンとしてしまう。
二「悪い、冗談。病人襲ったりしねーよ。家の人居ないみたいだし、コンビニでなんか買ってこよーかなって思ってただけだから、帰んねーよ。食いたいものある?」
「ゼリー食べたいです」
二「ん。買ってくるわ」
そういうと、家を出ていく二口さん。
(そーいえば熱出るの小学生以来かも。あの時はいつも優衣が面倒見てくれてたな。熱が出たら甘えたくなるのはなんでだろ、、。人が居てくれると落ち着く)
そんな事を考えながら目を閉じた。